ぶらうにが語る映画と読書の備忘録

お前は何様なんだ!という批判は当然です。


邦画 / 沈まぬ太陽

★★☆☆☆

実話を基に描かれた山崎豊子の小説を渡辺謙主演で映画化。

国民航空の社員、恩地元は組合運動に没頭するあまり、会社と衝突し懲罰人事を受けてしまう。1960年代のカラチ、テヘラン、ナイロビといったたらい回し人事の辛さは想像を絶するものがある。

その後、起こるべくして起こった御巣鷹山墜落事故の事後処理の凄まじさ。

小説で描かれる物語の力強さと悲惨さは、読む人間の心を強く揺さぶる。

さて、本映画の出来栄えは。

残念ながら、成功したとは言い難いのではないか。

渡辺謙や三浦友和、西村雅彦、香川照之、石坂浩二といった演技派を揃えたキャスティングだったが、アクの強さばかりが目立ってしまっている。いずれも熱演と言っていいのだが、汗臭さばかりが伝わってくる。

尺の違いがあるので単純比較できないが、 出来栄えとしては上川隆也が主演したWOWOWドラマ版の方が見応えがあった。

主演の渡辺謙を始めとした制作陣の気合は確かに伝わってくるのだが、原作の持つ力強さとは別物と感じてしまったというのは酷だろうか。

その違和感について考えてみたのだが、渡辺謙演じる恩地元の昭和モーレツ社員ぶりの描き方が過剰なのではないだろうか。

モーレツ社員を渡辺謙は熱演しているが、熱演ゆえに現在社会の価値観との乖離も際立っている。今の社会だと海外たらい回しの上に家族との断絶ともなれば転職という判断になろう。あるいは離婚という選択肢もある。

1960年代当時の価値観と比べる無意味さも十分承知しているが、WOWOW版がその辺りを丁寧に処理しているからこそ、余計に惜しい。

渡部謙が空回りすればするほど、暑苦しさばかりが際立ってくる。

この物語を映像化するには、200分というのはあまりに無理があり過ぎた。

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