ぶらうにが語る映画と読書の備忘録

お前は何様なんだ!という批判は当然です。


ノンフィクション / 2000年の桜庭和志


★★★★☆

スポーツグラフィック誌『Number』にて連載されたものを一冊にまとめて刊行したもの。

著者はこれまでもアントニオ猪木、ジャイアント馬場、クラッシュギャルズ、女子プロレス、UWFといった題材を扱った著作があり、どれも読み応えがある傑作である。

本作も桜庭和志を題材にし、黎明期の日本総合格闘技に踏み込んでいる。

とはいえ、成人後にリアルタイムでその戦いを目にしてきた私としては特に目新しい事実はなかった。
私は玉石混淆入り交じる業界の関連本を読みすぎたのかもしれない。

にしても、やはり声を大にして言いたいのは、谷川貞治を始めとしたDSEサイドの無能極まるプロモートであろう。

桜庭の『観客を楽しませよう』というプロ意識に甘え、利用した事実はもっと喧伝されて然るべきである。
適正階級で試合を続けていれば、桜庭和志はもっともっと偉大なレジェンドとして世界に名を馳せたはずである。

ずいぶん昔のことだが、Twitterを通じて谷川貞治に質問したことがある。
『谷川さんはK1、PRIDEを競技としてとらえているのか、興行ととらえているのでしょうか』

『競技です』と即答だった。
体重差を無視したモンスター路線を推し進めていた盛りだっただけにその矛盾した発言に唖然とした。

本の内容とは脇に逸れてしまったが、つまりはそういったいい加減な人間が業界を仕切っていたのである。

日本の総合格闘技の成り立ちにふれたい人には抜群にお薦めしたい傑作だが、業界本を読み漁った人には物足りないと思う。

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