ぶらうにが語る映画と読書の備忘録

お前は何様なんだ!という批判は当然です。


漫画 / 冬物語

★★★★★

四流大学の受験に失敗した主人公は、通い始めた予備校で出会った女性に一目惚れ。ついついその女性と同じコースを受講することにしたのだが、彼女が受講するのは東大コース。前途多難な浪人生活が始まる。

原秀則の作品群の中では、おそらく一番人気があり、完成度も高い作品であろう。

この漫画のメインヒロインは、東大を目指す『雨宮しおり』ではなく、途中から登場する『倉橋奈緒子』である。キャラクターとしての魅力に雲泥の差がある。倉橋奈緒子の健気さだけでも、ごはんがおかわりできるくらいだ。

一見芯が強く気の強い女性だが、デレるべきところでしっかりデレる。このデレの落差の描き方が、原秀則はバツグンに上手い。

原秀則の作品は、大きく分けて二つに分類される。『熱血系』と『純情系』だ。この二つに交わりはない。熱血系は一途な恋は描かれるが、純情要素はない。純情系には熱血系にある熱はない。

私はどちらかというと、原秀則の『純情系』が好みだ。

ラブコメの中に『ピーンと張りつめた緊張感』を醸し出しながら、気丈な女性のデレを魅せる。そのデレは、ヒロインの本来併せ持つ『誰かに寄りかかりたい』という潜在意識の解放の表現であり、これが堪らなく魅力的なのだ。

そういった作品群の中でも、初期の作品にも関わらず、完成度が最も高い。

『面白くない』という感想は生まれないはずだ。

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