邦画 / 竜とそばかすの姫
★★☆☆☆
細田守監督の最新作を観てきた。
結論から言うと、過去作品と比べると大きく物足りなさを感じた。
思うに監督は、実はファンタジーを描くのが苦手なのではないか。
細田作品の最高傑作は『時をかける少女』だと思う。
この作品は本格的SFだが、日常に対する非日常の絡め方が絶妙なさじ加減だった。
しかし、その後の作品群は後期になればなるほど虚構世界への傾倒が強くなっているが、残念ながら成功しているとは言い難い。
個人的には、この監督は日常を描いて光る才能の持ち主であり、非日常を描く能力というか才能は少なくとも突出はしていないと思っている。
今作の虚構世界『U』も『サマーウォーズのオズ』の焼き直しだし、『U』における演出もディズニーを強く意識したものになっている。
一方で主人公たち少年少女の瑞々しい青春模様の描き方は達者の一言であった。
異常に日常が絡め取られるよりも、日常にほんの少し異常が垣間見られる演出こそが、細田守の才能であると強く感じた。
細田守は、そろそろファンタジーの呪縛から解放された方がいいと思う。
演出は派手だが、実はとても地味な映画だった。
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