邦画 / ハケンアニメ

★★★★★
辻村深月の小説を原作とした快作。
原作は出版直後に読み、このブログでも絶賛した。
久しぶりに役者ではなく、物語で魅せる映画だった。
正直、観る前は不安感の方が大きかった。それほどに原作が力強さに満ちたエンタテインメント作品だったからだ。
序盤こそちょっとした違和感があったものの物語が進むにつれ、かなりの説得力を伴ってくる。
とても力強い群像劇に仕上がっており、引き込まれるし爽快感もあり、原作に肉薄している。
それでも原作には負けている。だが、僅差だ。
映画スタッフに失礼は百も承知だか、原作の力強さは拭いけれない。
しかし、こんなにきちんと原作を咀嚼して違う演出で挑み結果を出している映画は稀である。
おそらく、今季ナンバーワンの邦画だ。
主演の吉岡里帆は観る前はどうかと思っていたが、あんなに好演するとは思ってもみなかったし、その他の出演者ももれなく好演している。
劇中のアニメ作品も丁寧に作られていた。あの劇中アニメの出来があったからこその説得力である。
原作ファンとしては、これほどの喜びはないくらいの出来栄えだった。
それでも。
原作を読んでからの視聴をお薦めしたい。
映画は最高の出来栄えである。個人的には★5でも足らないくらいだ。
ただそれ以上に原作のエンタテインメントとしての完成度が高い。
この映画が何の賞も取れないようでは邦画の未来は暗い。
昨今のエンタテインメント映画としては、突出していると思う。
観るべき映画だし、このような映画がヒットしなければと強く思う。
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