ノンフィクション / 止まった時計
★★★★☆
麻原彰晃の三女、アーチャリーこと松本麗華が半生を語ったエッセイ。
加害者の娘という特殊な人生を歩んでいる彼女が何を思っているのか強い興味を持って読んだ。
とにかく一番の違和感は『私にとっては優しい普通のお父さんだった』という思い出語り。
確かにそうだったのかもしれないが、オウム事件の被害者が存在する現実で淡々と思い出を語る彼女には最後まで違和感があった。
麻原彰晃の娘として生きていかねばならない彼女の境遇は想像を絶するものがあると思うが、やはり麻原彰晃の『父親像』を披露する必要性はどれだけあったのか疑問も正直残る。
彼女の中で『死刑になってしまうお父さん』や『テロリストの娘にされてしまった現実』がどのように渦巻いているのか。
余人には想像する術もない。
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