漫画 / イエス
★★★☆☆
安彦良和によるイエス・キリストの伝記。
安彦良和は数々の歴史事件を独自の解釈で漫画化しており、新約聖書の世界をどのように描き出すのか興味深く読んだ。
新約聖書の入門書としては抜群に解りやすく、イエスがどのようなことを行ったのか?ということを知る上では非常に良く出来ている。
ただ、本作を読んでイエスに共感や尊厳を抱くかといえば否である。
本作のイエスは人格者であったかもしれないが、単に口が上手いだけなのかもしれないという印象もあり、『人間』として描かれているからだと思う。
それはそれで面白いアプローチである。
ラストエピソードでもある『イエスの復活』についても、作者なりの解釈、演出がなされているがカタルシスまでは感じない。
安彦良和の美しい描線は相変わらずだ。
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