ノンフィクション / プライド
★★★★★
金子達仁による格闘技イベント『PRIDE 1』に関わる人々のノンフィクション。
メインイベントを闘った髙田延彦とヒクソン・グレイシー。その場を設けるために奔走した榊原信行。そして、それらの関係者。
読み応えという点では、十分過ぎるほどの内容である。
個人的に特筆したいのは、髙田延彦の実像である。
著者は以前にも『泣き虫』という髙田延彦の半生を綴った作品を扱っているが、本作はさらに踏み込んでいる。
何が凄いのか。
髙田延彦の弱音をここまで赤裸々に読むことができるとは予想だにしなかった。
あの試合、あのリングに上がるまでの高田の葛藤、苦悩、そして何よりも弱音である。
ヒクソンのカリスマ性にも触れている。
榊原信行の努力には脱帽した。
しかし、高田の弱音に比べれば、私には些末なことだった。
この本を読んで髙田延彦を嫌いになる人はいないだろう。
『本当の髙田延彦』が、確かにここにある。
少なくとも、私は髙田延彦が大好きになった。
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