ぶらうにが語る映画と読書の備忘録

お前は何様なんだ!という批判は当然です。


漫画 / BECK

★★★★★

変わらぬ日常に夢も希望も持てない少年、田中幸雄ことコユキ。そんな彼がロックとギターに出会う。何者にも代えがたい仲間とのサクセスストーリー。

画風に華は感じられないが、とにかく『魅せる力』に満ち溢れる作品。

第一巻でロックに目覚めるコユキだが、その主人公がステージに立つまでを何巻もかけて丁寧に描かれている。

冴えないコユキが何故ロックにギターに夢中になっていくのか。強い共感を読者に抱かせる丁寧さである。

巷間よく言われるとおり、音楽ものを漫画にすることは非常に難しいとされている。

物語中でどんなに素晴らしい曲、パフォーマンスと語られても、読者はその音を聞くことが出来ない。

全ては受け手とされる読者の脳内補完に頼るところからスタートせざるを得ない。

作者の魅せどころとしては、この脳内補完をいかにスムーズに促せるのか。この点に集約される。

正直なところ、コユキの声がどれだけ素晴らしいのか。竜介のギターがどれだけ凄いのか。

そこは分からない。

ただ魅力的なこいつらが、これだけ頑張っているのだから凄くないわけがない。

そういう共感を読者に持たせる物語の魅せ方は相当な力だと思う。

要所要所にクライマックス的な転機が訪れるが、そのすべてが鳥肌モノである。

ありがちな物語のインフレにも陥らず、最後まで描ききったのは圧倒的な評価に値する。

とにかくオススメである。

全34巻。

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