ぶらうにが語る映画と読書の備忘録

お前は何様なんだ!という批判は当然です。


漫画 / 自虐の詩

★★★★★

業田良家の感動作。

映画化もされたが、何と言っても原作を推したい。

画は大人雑誌にありがちな淡白な4コマ漫画である。

物語の序盤こそは、イサオの理不尽さとそれでも幸せを感じる幸江とのギャップにしてギャグ漫画としているが、ギャグのレベルはそれほど高くない。

ところが中盤以降になり、幸江の過去が徐々に明らかになるにつれて、人間ドラマへと遷移していく。

決して幸せとは言えない幸江の人生に転機が訪れるのは、熊本さんという友人が現れてからである。

その熊本さんとの思い出により、イサオとの理不尽な同棲生活にも幸せを感じる幸江の境遇にも説得力が増し、グイグイと引き込まれていく。

そして。

傍目から見た幸江の歩んできた人生に感じる読者の同情が、ラストに至って大いなる感動と哲学へと昇華する。

私は人生で一番辛いときにこの漫画を読んだ。

ラスト数頁は大袈裟でなく号泣だった。

私の人生で大きな楔となっている。

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