漫画 / 孤高の人
★★★☆☆
新田次郎の山岳小説を原作とした漫画。
実在した単独登山に生涯を費やした孤高の登山家、加藤文太郎をモデルとした物語だが、『孤高の人』というタイトルがすべてを語っている。
漫画化するにあたり、漫画家の坂本眞一が大胆なアレンジを加えているが、好みの分かれるところだと思う。
実際、主人公の舞台が国内で収まっているところまでは抜群に面白い。
孤高であるが故の主人公の葛藤や挑戦にグイグイ引き込まれる。
しかし、舞台が世界の最高峰に移るとその描写はスピリチュアルな度合いが増していき、個人的にはついて行けなかった。
登山を趣味にしている友人が語るところでは、『これほど肉薄している漫画はない』と絶賛していたので経験者には強く通じるものがあるようだ。
だが、読者の殆どは登山など経験していないわけだから、やはり先走った感が強いように思える。
それでも原作小説とは異なる結末を選択したあたりに漫画化の意味合いも同時に感じられたので、意欲作には間違いない。
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