エッセイ / 薬物依存症
★★★★★
覚醒剤の後遺症に苦しむ清原和博の手記。
過去作『告白』でも強く思ったのだが、清原和博のメンタルは恐ろしく繊細だ。
かつての番長イメージもそれを隠すための方便と感じてしまうぐらい繊細である。
この本では引退後の自分と世間が持つ印象とのギャップ、自らのアイデンティティーの象徴であったホームランを打つ機会さえ与えられなくなった喪失感から、薬物に手を出す経緯が生々しい。
しかし、この本のメインテーマはその経緯ではなく、逮捕以降に苦しめられる依存症との戦いに清原自身が弱音を吐きながらも何とか救いと希望を求めていく様である。
今の清原に必要なのは、家族と友人と野球である。
それ以外のものは、些末なものでしかない。
豪放磊落な現役時代と比べると、脆くも儚いメンタルと自尊心。
そこには本人も繰り返し語るように危うさしかない。
薬物に手を染めた彼を肯定することはできない。
だが、敢えて声を出して言いたい。
がんばれ、清原和博。がんばれ。
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